秋も深まってきました!私たちが大好きなリンゴの季節です。そうです、2021年新モデルの数々を分解する季節でもあります。私たちは、2016年タイムラインのMacBook Proモデルから育った新MacBookという果実を味わうのを待ちきれません。ポートが増えて、丈夫で使いやすいキーボード、MagSafeの復活、Touch Barの廃止、古き良きファンクションキーへの回帰などノスタルジアを感じる一方、未来に繋がるApple製シリコンに加えてスーパーレトロなケーススタイルまで楽しめます。この新モデルたちは”Plus “を通り越して “Pro “や “Max “まで届くぐらい、とてもカッコ良いです。
この分解ブログは、弊社分解チームによる最新の調査結果に基づいて更新されています。ポリッシングクロスの分解をお探しの方は、ピカピカの最新MacBookの後に掲載されています。

ずっと昔のMacBook初期デザインがすぐに思い出されるこの新モデルを、喜んで分解テーブルに置きます。もしリペアビリティがスコアが上昇すれば、私たちの修理を愛する小さな心も3倍大きくなるはずです。

ここにあるポートを見てください。こんなにもプラグインできるポートがあれば、数多くのドングルが行き場を失ってしまいます。するとJony Ive氏(前Appleのデザインチーフ)はきっと ….高級フェラーリの中でフラストレーションを抱えて怒っているはずです。MagsafeはiPhoneでこっそり役割を果たしながら、ついにMacBookで輝かしく戻ってきました。よくコードに引っかけてしまうおっちょこちょいな人やペットを飼っている人には嬉しいニュースです。
しかし、私たちはデザインを見に来たわけではありません。真の美しさは内側にあると言われます。その真偽を確かめるために分解を始めましょう。
X-ray! X-ray! X線画像について話しましょう!

分解ツールを取り出す前に、Creative Electronによる14インチM1 Pro MacBook ProのX線シースルー画像を紹介しましょう。X線画像では機嫌の悪いフクロウのように見えるかもしれませんが、心配しないでください、噛んだりはしませんが……突つくかもしれません。フクロウですから。
このX線写真を拡大して、ヒートシンクの下に搭載されたM1 Proパッケージのトランジスタ337億個を数えてみてください。大丈夫です、時間は十分にあります。
そうは言えども、X線画像のトランジスタ一つ一つを数えることはできません。しかし、パッケージの中には様々な機能が詰められているのが分かります。他にも、メタル製キーボードフレームの輪郭がうっすらと確認でき、長いキーの上にスタビライザーが付いています。また、スピーカー、トラックパッド、ファンにはマグネットが付いています。
アベンジャーズ、分解!

神聖な天使の音楽が聞こえてくるのは、私たちだけでしょうか?確かに、リアケースは修理の行く手を阻むペンタローブネジが使用されていますが、恐ろしいことに作業が進んでも接着剤もなければ、クリップも締まっていません。このまま指とスパッジャーだけで作業ができることを願います。



AppleのUnleashedイベントのキーノートで発表した内部構造レンダリングの映像をご覧になった方も、ここでは驚いているふりをしてください。私たちの方が先に分解を始めたのです。そして私たちの分解画像は、キーボード、バックライトケーブルなどのディテールまでクローズアップしています。
この場所にあるはずのチップを見逃しているか、もしくは追加のストレージがあるはずの場所に、空のはんだパッドがあるかのように見えるはずです。それもそのはずです。私たちはハイスペックモデルを購入していません。(実は、予算の大部分にポリッシングクロスを費してしまったのです) 2019年15インチTouch Bar MacBook Proと比較すると、これらの新モデルは内部スペースを有効活用しているようです。頑丈な冷却アセンブリを犠牲にすることなく、スピーカーとバッテリー用に十分なスペースが確保されています。
14インチモデルと16インチモデルの違いはごく僅かですが、リアカバーのクリップのタイプ、チップの配置、ヒンジブラケットの形状の違いが挙げられます。ぜひ自分の目で確かめてください。私たちの目には、違うサイズで同じデザインのように見えます。いつものことですが、デバイスに搭載された芸術作品ー素晴らしいパーツに見えます。しかしバタフライキーボードやTouch Barが搭載されたモデルは、発売当初の分解では素晴らしいパーツに見えましたが、やがてその脆弱性が暴かれてしまう悲惨な過去もありました。さらに分解の手をさらに奥まで伸ばしましょう。

分解が進んでやり方が分かってくれば、まず先にバッテリーを外したくなります。辺りを探ってみると、大きなトラックパッドケーブルの下にバッテリーの端子が隠されていることが分かりました。通常この後はバッテリーの解体を最後に残します。なぜならば、MacBook Proのバッテリーを外すには、忍耐強さとイソプロピルアルコール1本分、そしてオプションで人間用のアルコール一杯分が必要だからです。しかし内部を覗いてみると思いがけないことに気づきます。そよ風が耳元でささやいてきたのは、驚くべき3つのワードです。バッテリー・プル・タブでした。
このバッテリーを取り出せるには、まだ先は長いです
外側4つのバッテリーセルには、iPhoneやMacBook Airでお馴染みの薄くて白いストリップ状の接着剤、通称ストレッチリリース接着剤が、さりげなく目立つように付いています。これを正しいやり方で引っ張ると、装着しているものがすぐに外れる仕組みです。

さらに良い事は、このバッテリーはロジックボードの下に閉じ込められていないようです。つまり頭脳を取り外さずに、バッテリー交換ができます。
しばらく悩んだ末に、トラックパッドを外してみるという素晴らしいアイディアが降りてきました。バッテリー底側がよく見えるだろうと期待したのですが、実際はさらに良いものが見つかりました。



なんと中央バッテリーセルの下にプルタブが付いていて、トラックパッド下の筐体の切り欠きからアクセスできることがわかりました。なんということでしょう!スマートな人が修理とアクセスを考えてくれたに違いありません。

そしてプルタブを外せば、バッテリーが取り出せます。ツールも不要、アルコールも不要、こじ開ける必要もありません。フラストレーションもありません。
バッテリーのスペックを確認しましょう

今年の16インチMacBook Proのバッテリー容量は、99.6 Wh(11.45 V, 8693 mAh)で、2019年16インチモデルに搭載されている99.8 Whのバッテリー容量からわずかに小さくなりました。一方、14インチMacBook Proには、小型の69.6 Whバッテリー(11.47 V, 6068 mAh)が搭載されています。これは58.2 Wh(11.41 V, 5103 mAh)だった、昨年の M1 MacBook Proのバッテリーをはるかに凌ぎます。
このバッテリーの中で特別なものは? 私たちが行ったバッテリースワップテストでは、交換後のバッテリーは完全に機能し、 警告表示が出ないことを確認しました。(14インチと16インチのモデルを追加購入した上で、パーツの互換性テストを行いました。これは重要なチェック項目です)
スクリーンに大注目


Slackは、MacBookのデスクトップにあるアプリだけでなく、コンピュータの内部にも入っています。つまりディスプレイケーブルのたるみという意味のSlackです。ディスプレイの作業中、このケーブルがデザイン変更され、たるみの長さが倍になっていることに気づきました。フレックスゲートはいよいよ過去のものになるのでしょうか?(新MacBookで解決できそうな様々な問題を集めたビンゴカードがあると良いかもしれません)
ディスプレイの交換作業も、物理的に簡素化されています。作業が面倒なネジやスプリング、ケーブルが減り、ディスプレイボードを外す必要もありません。しかし若干、気にかかる問題があります。私たちのテストでは、DIYでディスプレイを交換するとTrue Tone機能が失われることが確認されました。iPhoneのFace IDのような重要な機能ではありませんが、デバイスを修理すると、機能が失われるのは残念なことです。100%完全な修理を望む場合、Appleに高い修理料金を支払わなければなりません。(もしくは修理する権利を、法制定するよう要求しなければなりません)

Face IDといえば、ディスプレイの切り欠きにぴったりとはまるはずと思われていた方にニュースです。比較のために、新iPhone13とMacBook Proのディスプレイの分解で取り出したFace IDモジュールを並べてみました。これらのセンサーモジュールに厚みが加わっていて、薄いディスプレイの中に収まりません。ノッチのデザインはiPhone Xの登場以来、デザインに対して色々なクレームがあります。特にAppleはFace IDモジュールの中にUIを実装するつもりで厚みを持たせていますが、その進み具合は遅く未だに実現していません。
Hello M1 Pro


M1 Proは2つのメモリモジュール(M1 Maxでは4つ)に挟まれて、最大のメモリ帯域幅が確保するためにSoCに近い位置で半田付けされています。これらのメモリモジュールはAppleの”ユニファイド”メモリを搭載しています。つまり、CPUとGPUがメモリを同時共有できるため、両方のユニットが確保できるメモリプールが有効的に行われます。
これほどまで高度な統合がなされていると、リペアビリティは一体どうなるでしょうか?何も良いことはありません。 前にも言いましたが、長期にわたる修理のオプションや、パーツを取り出して再販やリサイクルに回すという選択肢はほとんど残されません。全てのパーツが基板上に搭載されているからです。将来、アップグレード可能なRAMは?残念ながらありません。それなら購入時にできるだけ高い容量のモデルを選びましょう。将来的にストーレジのアップグレードは可能でしょうか?できるかもしれませんが、かなり非現実的です。技術的には可能かもしれませんが、難しいです。Thunderbolt 4のポートを使って外付けドライブに繋げるか、クラウドを利用しなければならないでしょう。


Appleチップ食べ放題
これまでに分かっているチップID:

フロントサイドのハイライトです(ROYGBIVオーダー):
- Apple APL1103 M1 Pro system-on-a-chip (SoC)
- Samsung K3LKYKY0EM-ZGCP 8 GB LPDDR5 SDRAMメモリ(合計16 GB)
- Kioxia KICM225UZ0460 2×128 GB NANDフラッシュメモリ
- Apple APL1098/343S00515 パワーマネージメント
- Intel JHL8040R Thunderbolt 4 Retimer
- MegaChips MCDP2920 DisplayPort-to-HDMIコンバーター
- Genesys Logic GL9755A カードリーダーコントローラー

裏面のハイライト(ROYGBIVオーダー):
- Kioxia KICM225VF9081 128 GB NANDフラッシュメモリ
- USI 339S00912 Bluetooth/WiFiモジュール
- Secure Element搭載 NXP Semiconductor SN210V NFC コントローラー
- Texas Instruments CD3217B12 USB Type-Cポート/パワーデリバリーコントローラー
- Renesas ISL9240 リチウムイオンバッテリー充電コントローラー
- Cirrus Logic CS42L84A-CWZ オーディオコディック
- Texas Instruments SN012776B0 オーディオアンプ
まだまだ他にもチップIDをご覧になられたい方は、コミュニティメンバーC. Chin氏による協力で、マザーボードとタッチパッドに搭載された75ものチップ情報をこちらからご覧いただけます!
残りのパーツの確認



ポートの配置は、外観だけでなく内側も素晴らしく見えます。人気のMagSafeを含めて、ほとんどのポートがモジュール化されています。万が一故障しても、高額な基板修理をすることなく、個別に交換することができます。唯一の例外は、SDカードリーダーとHDMIポートで、これらはロジックボードに半田付けされています。これらが破損した場合、高額な修理費用がかかるか、ボード全体を交換するか、さもなければDongleだらけになるでしょう。
また、私たちは冷却装置の大ファンですが、これほどまで大きなファンではありません。レビューでは、冷却装置からのノイズはほとんど聞こえないようですが、確かに冷却装置が搭載されており、ラップトップはそこまで熱くなりません。(レビュアーへのPro アドバイス:トラックパッドのケーブルを抜くと、ファンが狂ったように回転します) 今のところ、MacBook Airは、内部ファンを持たない唯一のApple製ノートブックです。上の画像は、16インチモデルと14インチモデル用の日本電産製ファンです。
キーボードにご注意を

このキーボードで交換可能なパーツは、電源ボタンとTouch IDのコンボだけですが、それでもAppleに修理代金を支払わなければTouch ID機能が維持できません。それ以外のキーボードパーツの交換には障害が伴います。Apple Storeや正規サービスプロバイダでは、キーボードのみの修理でなく、上部ケース全体を交換するでしょう。(利点といえば、バタフライキーボードではないため、修理の頻度は大幅に減るはずですが、うっかりマキアートをこぼさないように注意しましょう)

バックライトレイヤーを剥がしてキーボードを点検すると、ここでもネジとリベットで固定されています。また、キーボード周辺が新しく黒くなっているのは、私たちが期待していたモジュールではなく、アルマイト加工されたもので、おそらく見た目を美しくするためでしょう。
リペアビリティ
アップルのM1シリコンは、あらゆる方面でテック業界全体を前進させていますが、リペアビリティは加速していないのが残念です。しかし、このデザインは正しい方向へ向かう大きな一歩と言えるでしょう。バッテリー交換作業は簡単ではありません。Framework Laptop やDell XPSのようなドロップイン方式の手軽さには程遠いですが、それでも大幅に改善されています。外科手術のように、Proラップトップから接着剤で固められたバッテリーを取り出す悪夢は二度と味わずにいたいものです。
半田付けされたメモリには不満を持ち続けていますが、Appleがこの新モデルで実現したパフォーマンスとバッテリーライフの向上に異議を唱えることはできません。ソケット式のデザインではこの実現は難しいかもしれません。(しかしソケット式が検討されたかどうかは知りたいところですが)
このマシーンの最大の欠点は?リペアビリティ、アップグレード性、セキュリティ、データリカバリー、そして全体的なフレキシビリティを考慮して、半田付けされて取り外せないストレージは非常に残念です。これは、製品という観点から考えると見過ごせない大きな問題です。また、プロフェッショナルに使用することを考えると、大きな誤算に見えてきます。修理や再販を目的に、データ保護するためにドライブを取り外すことができません。確実なセキュリティのためには、ロジックボード全体をシュレッダーにかける必要があります。
新MacBook Proのリペアビリティスコアは、 弊社のスケールに基づき4/10です。(10が最も修理しやすい指標):
- バッテリーの交換は簡単でないにしても、デザイン上優先されています。
- ディスプレイの交換は大幅に効率化されました。
- その他、トラックパッド、ほとんどのI/Oポート、ファンなど、多くの部品がモジュール化されており、独立して交換することができます。
- ペンタローブネジ、リベットされたキーボード、接着剤で固められたスピーカーといくつかのソフトウェアの障害が修理を妨げています。
- 永続的に半田付けされたストレージはProレベルのラップトップとして大きな弊害となります。
- Appleよりこのモデルの発売時に交換パーツやサービスマニュアルの提供がありません。

新たな分解が続きます…
iFixitのメイン分解チームは、一週間をMacBook Proの分解に費やしてきました。そして別の分解チームも同様に多忙な1日を送りました。そのチーム名はBlack Ops(極秘ミッション)です。このチームには正式な名前も予算もありませんが、地球上で最も優れ、最もトレンドで、最も手に入らない製品だけを分解します。当然のことながら、彼らは…
史上最も薄いデバイス:ポリッシングクロスの分解
ご存知ない方の為に、Appleは2000円(20ドル)という価格で”ポリッシングクロスを密かに発売しました。

この素材は、内側に薄いマイクロファイバーを使用したiPad Smart Coverの内張りと同じ肌触りです。どちらもアルカンターラに似た、わずかに毛羽立ちのある独特の合成皮革感があります。

このポリッシングクロス1枚の金額があれば他に何が買えるでしょうか?
- ドングル1本
- iFixit Moray Driver Kit
- iFixit クリーニングセット2つ
- 格好良さでは若干劣ってしまうiFixit クリーニングクロス 8枚



詳細に点検してみると、2枚のクロスが接着剤でくっ付いています‼ 1枚2000円もするクロスに躊躇してしまう方は、クロスを剥がせば2枚のクロスに変身します!つまり、1枚たったの1000円になります。

それでは、クロスの深層まで入っていきましょう。
Appleのプレミア級ポリッシングクロスを顕微鏡で覗いてみましょう。画像左側は通常の使い古したクリーニング用クロスです。以上。そして右側は?微細な繊維が複雑に絡み合いながら合わさっているため、単なる掃除用のツールではなく、クロスでありながらクリーニングされるにふさわしい美しさを備えています。 その美しさの中に、人類の原点であるリンゴの形が細い線で繊細に表現しています。

ちょっと待ってください、これはただのクロスです。この多忙な中、一体何をしているのでしょうか?このクロスは一体どこから現れたのでしょう?
新ポリッシングクロスのリペアビリティは、残念ながら0/10です。集中しなければならないMacBook Proの邪魔をしただけでなく、一度ハサミを通した布は元には戻せないからです。

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